2007年11月26日月曜日

花の三度笠:思い出語り

 そのとき「事件」は起こった。
 
 50年余り昔。小学1年生のときの出来事である。小学校に入学して間もない期間、父兄が登下校時に連れ添うことになっていた。下校の寸前、起立して担任女性教師の注意を聞いていた。母親連中は教室の後方に陣取っていた。

 そのとき。。。

 ♪男三度笠 横ちょにかぶり
と唄いだした同級生がいて、草野球音は一緒に釣られて唄ったのだった。直後、先生が「そういう歌は唄ってはいけません」とぴしゃりと静止された。
 球音は俯(うつむ)き、母は赤面して周囲を憚(はばか)った。

 「花の三度笠」(1952年=昭和27)という歌は小畑実(1923年―1979年)が唄っていた。佐伯孝夫作詞・吉田正作曲の股旅歌謡である。
 小畑実のヒット曲には、
・湯島の白梅(昭和17年)佐伯孝夫作詞・清水保雄作曲
  ♪湯島通れば 思い出す お蔦主税の 心意気
・勘太郎月夜唄(昭和18年)佐伯孝夫作詞・清水保雄作曲
  ♪影か柳か 勘太郎さんか 伊那は七谷 糸ひく煙り
・薔薇を召しませ(昭和24年)石本美由紀作詞・上原げんと作曲
・高原の駅を、さようなら(昭和26年)佐伯孝夫作詞・佐々木俊一作曲
  ♪しばし別れの夜汽車の窓よ
などがある。

 小学1年生といえば7歳である。当時、普通の家庭の子供なら唄う歌は小学唱歌であった。ところが、家では聴く歌、周囲から聞える歌は違っていたのだった。
 ♪あなたにもらった 帯止めの
 だるまの模様が チョイト気に掛かる
 「トンコ節」(1951年=昭和26)で久保幸江が唄うお座敷ソングながら、西條八十作詞・古賀政男作曲という由緒正しい大御所コンビが世に出した。
 また西條・古賀コンビで創った神楽坂はん子の「芸者ワルツ」(昭和27年)も、
 ♪あなたのリードで 島田も揺れる
などと、大きな声で唄っていたのだ。

 商店街に真ん中に暮らし、映画館が徒歩5分ほどのところに3館、パチンコ店が軒を並べる生活環境であった。
 小学校という公の場と近所や家では違う世界があり、本音と建前があることを、そのとき初めて知ったのだった。

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