2012年6月28日木曜日

フェルメール光の王国展:銀座

「取り持ち女」は複製画と知りつつも、リアルな世界が迫ります。

 フェルメール・センター銀座で開催中の「フェルメール光の王国展」(2012120日~722日)を観る。全37作品(疑問作も含む)を最新の印刷技術で、原寸大で、かつ所蔵美術館と同じ額装で彼の描いた350年前の色彩を求め再現し、制作年順に並べ展示している。監修は分子生物学者の福岡伸一氏。

 
 
※ヨハネス・フェルメール(1632年―1675年)
 オランダのデルフト生まれの画家。現存する作品は3336点と、研究者により異同があるが、22年の画歴からいって寡作であることは間違いない。

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 色鮮やかなフェルメール作品(複製画=re-create)が並んでいた。
 350余年前、彼の描いた作品はこんな色彩・光彩だったのか――音声ガイドに耳を傾けながら、作品の背景を想像するのが愉しい。制作順に時系列に並んでいるのも、彼の画業をたどるのに好都合で勉強になった。

 彼の人生を日本史に照らせば、徳川3代将軍・家光(在職1623年~1651年)と4代・家綱(在職1651年~1680年)にあたる。大名の参勤交代が制度化され、1637年に島原の乱、1639年に鎖国が完成した。以来、長崎出島で欧州諸国で唯一オランダと外交関係を維持した。
もちろん家光とフェルメールは面識はないけれど(笑)、当時の日蘭は特殊な間柄だったのだよね……などなど勝手に想うのも、また愉しい。

この音声ガイド(500円)は、福岡伸一氏のシナリオで、フェルメールと娘のエリザベスが作品を紹介する設定となっている。フェルメール役はテレビ東京の美術番組「美の巨人」のナレーションをしている小林薫さん、娘のエリザベス役は宮沢りえさんが演じ、BGMは久石譲さんとなかなか凝っている。ただ、iPodnanoを機器使用しているので、当方のような老眼の中高年にはちょいと画面が小さく、使い勝手はイマイチかな。説明内容は丁寧で面白かった。

 本物ではないことを知りつつも、興味をそそられたのは「取り持ち女」だった。「取り持ち」とはやり手婆、女衒(ぜげん)のことで、売春婦と客の仲立ちをする女。赤い服を着た男は客でコインを、黄色の服の売春婦の手にわたそうとしている。「ハウマッチ?」って具合で交渉中。だが、すでに男の左手は女の乳房に……。その様子を見守る取り持ち女(左から2人目)。

 ちなみに画面左のワインを持ち、視線を正面に向けている男はフェルメールの自画像といわれているが、確証はないそうな。
 なんとリアルな構図なんだろうか。臨場感がありますな。

 Re-create(再創造)とはいえ複製画なので写真撮影OK さらに本物でない気楽さから当方も含め緊張感がなくフェルメール全作品を鑑賞できる稀有な機会だった。

 フェルメール作品「真珠の首飾りの少女」が国立西洋美術館の「ベルリン国立美術館展」(2012613日~917日)で展示中で、いよいよ30日からは東京都美術館で「マウリッツハイス美術館展」(2012630日~917日)で「真珠の耳飾りの少女」が公開される。
2012626日観覧

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