2009年4月7日火曜日

あの名台詞:三人吉三

  米大リーグのヤンキース松井秀喜が2009年4月6日、開幕のオリオールズ戦に4番DHで先発出場し、今季1号2ランを放ち日米通算445号とし、恩師である長嶋茂雄の記録を超えた。

 こんな時によく使う「春から縁起がいい」というフレーズは、歌舞伎の「三人吉三廓初買」(さんにんきちさくるわのはつがい)が出典で、「三人吉三巴白浪」(さんにんきちさともえのしらなみ)ともいわれ、「三人吉三」と通称される。
 三人吉三は、「お嬢吉三」「和尚吉三」「お坊吉三」の3人の盗賊が登場する白浪物で、特に「大川端庚申塚の場」におけるお嬢吉三の台詞が耳に親しんでいる。大川端(隅田川)のほとりで夜鷹を川に突き落とし百両を手にして吐く。

月は朧(おぼろ)に白魚の 
篝(かがり)も霞む春の空
~中略~
竿の雫(しずく)が濡れ手に泡 
思いがけなく手に入る百両
ほんに今宵は節分か 
西の海より川の中 
落ちた夜鷹は厄落とし
豆沢山の一文の 銭と違って金包み 
こいつぁ春から縁起がいいわい

 「三人吉三」の作者は、「青砥稿花紅彩画」(あおとぞうしはなのにしきえ)の河竹黙阿弥(1816年―1893年)である。リズミカルな七五調の台詞が心地よい。

 映画では市川雷蔵、美空ひばりが「お嬢吉三」を演じている。
・市川雷蔵「お嬢吉三」(1959年大映=田中徳三監督)
・美空ひばり「ひばり十八番お嬢吉三」(1960年東映=佐々木康監督)

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