2009年9月22日火曜日

温故"痴"新:西田佐知子

珈琲伝来は大化の改新のころ!?

 ♪初めて街で いつもの酒
  やぁ~ぱり おれは菊正宗~
 近ごろジェロの歌声がテレビから流れている。あれって西田佐知子が歌っていたヤツだよね。
 テレビ画面には「菊正宗創業350年」とあり、キクマサって、そんな歴史が古いのかと、妙に感心する。草野的には蕎麦屋の酒という印象で、経験則では蕎麦屋で酒を注文するとキクマサが出てくる場合が多い。粗塩を舐めながら冷えた樽酒を飲(や)るのもいいですな。杉の香が口中に広がる。
 「♪菊正宗」の原曲は「初めて街で」で、作詞は永六輔、作曲は中村八大。坂本九の歌唱で、世界的に大ヒットした「上を向いて歩こう」(別名スキヤキ、SUKIYAKI)を世に出した「六・八」名コンビだ。

 さて西田佐知子である。愛称「サッチン」。最近は司会ばかりで俳優をとんと御無沙汰の関口宏の奥さん。義父は松竹のスター俳優・佐野周二で、息子は関口知宏。1971年(昭和46年)結婚後、芸能活動を激減させ、専業主婦の道を選んだ。NHK紅白歌合戦10年連続出場したスター歌手だった。代表曲は「アカシアの雨がやむとき」(作詞・水木かおる、作曲・藤原秀行)だろう。「エリカの花散るとき」「くれないホテル」も記憶に残る。気になるのは、外国のカバー曲「コーヒー・ルンバ」(作曲・ホセ・マンソ・ペローニJ・M・PERRONI、作詞・中沢清二)だった。
 ♪昔アラブの偉い お坊さんが
  恋を忘れた あわれな男に
  しびれるような 香りいっぱいの
  琥珀色した 飲み物を教えてあげました
 1961年のヒット曲です。物語のような歌詞で、魅惑のドリンクで男はたちまち若い娘に恋心を抱く。そのドリンクこそ、
 ♪それは素敵な飲み物 コーヒーモカマタリ
となるわけだが、耳には「珈琲も鎌足」と聴こえてくるのだ。
×  ×  ×
 「コーヒー」と「カマタリ」――。
 ?……?
 「カマタリ」⇒「鎌足」といえば中臣鎌足(なかとみのかまたり)となりし、コーヒー伝来は大化の改新のころ? なんてぇことに発想が膨らんだ。
 カマタリは、中大兄皇子(後の天智天皇)とともに蘇我氏を滅ぼした政変劇の主役の一人で、藤原氏の始祖である。
 蘇我蒸し殺す大化の改新と覚えた645年、コーヒー伝来の次期としては早すぎよう。ついでに、「なんとキレイな平城京(710年)「鳴くよウグイス平安京(794年)」なんて歴史年号の記憶方法もありました。
 コーヒーの日本伝来は諸説あるようだが、江戸時代初期、オランダ人から長崎に持ち込まれたのが最初といわれている。空耳で聴こえた「珈琲も鎌足」から妙な発想を飛躍したが、「コーヒー・モカマタリ」であることがわかったのは、「コーヒー・ルンバ」のヒットが下火になったころで、西田佐知子に悪いことをした(笑)。
×  ×  ×
 イエメンの港町モカはコーヒーの輸出港で、イエメン産と対岸のエチオピア産のコーヒーを総称して「モカ」と呼び、イエメン産のコーヒー豆を特に「モカ・マタリ」と珍重される。さわやかな香りと強い酸味が特徴で、その「No.9」は最高級品だそうだ。
 西田佐知子――温故“痴”新の旅でした。

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