2010年4月4日日曜日

俊寛の面に刻まれた悲劇

能面展:かなっくホール

 JR東神奈川駅に隣接した『かなっくホール』(横浜・神奈川区)で「面友会 能面展」(3月30日~4月5日)を観る。
 能面を間近で初めて観ると、表情が多彩で興味深い。
 一般的によく表情のない、少ないことを形容して『能面のよう』などと言うが、この言葉はあたらない。

 能を知らない身では、理解が及ばないが、知ればより面白く堪能できることだろう。面打師・佐藤征弘さんが自らの作品『俊寛』を説明してくれた。
――平家転覆の謀が発覚し、俊寛僧都、平判官康頼、丹波少将成経の3人が九州薩摩の絶海の孤島、鬼界ヶ島に流された。都では、中宮のちの建礼門院の出産の祈りのため大赦が行われることになる。都から届いた赦免状には、康頼と成経の名はあったが、俊寛はなかった。そして別れの日、2人の乗った船が俊寛の前から遠ざかって行く……。
 平家物語屈指の悲劇だそうだ。面に悲しみが宿っていた。
2010年4月4日観覧

0 件のコメント: