2012年7月1日日曜日

国吉康雄展:横須賀美術館

ペリーもゴジラも、そしてラルク アン シェルも来た。

 「アメリカ美術を変えた日本人 国吉康雄展」(2012428日~78日)を横須賀市の横須賀美術館で観る。


 ペリーも来た。
 ゴジラも来た。
 静かな浦賀水道の海面が突然大きく盛り上がった。黒い巨大な怪獣が出現した。ゴジラだ――1954年(昭和29年)の東宝映画「ゴジラ」。
 ガキのころ観て興奮したなぁ。宝田明、平田明彦、志村喬が出ていたっけ。監督は本多猪四郎(本編)と円谷英二(特撮)。
 その100年前の1853年(嘉永6年)には、黒い船体が姿を現した。江戸泰平の眠りを覚ましたペリーの黒船来航である。

 ペリー&ゴジラゆかりの浦賀を臨む絶景のロケーションに横須賀美術館はたたずんでいる。
 白亜のガラス張りの館の前に広がる海には貨物船が行き交う。

 そしてラルク アン シェルも来た。
 結成20周年を記念する特別展が開催中でした。
 珍しい光景が……。観に行ったとき、大盛況。それも若い女性がいっぱい。美術ファン急増とはとんだ早合点で、人気ロックグループの展示が同時開催されていたんですな(笑)。

×  ×  ×

マクラが長すぎ? さて本展は「国吉康雄」である。
 20世紀前半にアメリカで活躍した日本人画家。職を求め渡米し、美術に目覚めニューヨークの美術会で成功を掴んだご仁だ。「フランスの藤田嗣治(レオナ―ル・フジタ)。アメリカの国吉康雄」と称された。彼の作品110余点を展示し、アメリカで一時代を築いた国吉康雄の足跡を振り返る展覧会が開催中である。

※国吉康雄(くによし・やすお)
 1889年(明治22年)岡山市生まれ。190617歳で職を求めて渡米。仕事の傍ら通っていたロサンゼルスの公立学校で絵の才能を認められ、美術の道を志す。1916年アート・ステューデントリーグ入学。1922年ニューヨークのダニエル画廊で初個展で好評を得る。1925年と1928年ヨーロッパへ旅しエコール・ド・パリの影響を受ける。
 第二次世界大戦中は敵性外国人として扱われたが、ファシズムを批判することで立場を守った。1952年アメリカ代表作家としてヴェネチア・ビエンナーレに出品。1953年アメリカ市民権を得られぬままニューヨークで没する。

惹かれたのは「ミスターエース」(1952年)。最晩年の作品。
 サーカス小屋の親方だろうか。幕間に仮面を上げ、化粧している。でっぷり肥った中年道化師のひと息ついた様子。じっと観ていると、人生の哀歓が漂うような気がしてきました。
2012628日観覧

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